「協会の講座で教えた内容を無断で模倣し、勝手に教室を開いている」
そんな受講者や講師に頭を痛めている協会は少なくないようです。
こうした事態を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
「真似されても気にしない」
という、おおらかな対応もありますが、普通の人はなかなかそこまで達観できません。
なので、なんらかの手を打ちたくなります。
それに、
- 真似する人を放置する「おおらかな対応」が世の中のために本当にそれでよい?
- まじめにやっている他の会員さんの手前、違反者を放置していいの?
という問題もあります。
やはり、なんらかの手を打ちたくなりますね。
では、
「なんらかの手」
には何があるのか。
参考例として、
- 秩序を守るため、犯罪が起きないために日本のような近代国家がどのようなことをしているか。
- それを協会にあてはめるとどうなるのか。
を、考えてみましょう。
法律

日本のような国(法治国家)には法律があります。
法律には、
- しなくてはいけないこと
- やってはいけないこと
が書かれています。
法律に書かれていることに違反すると、罰せられるわけですね。
これを協会に当てはめると、
「協会のコンテンツを無断で真似ることは禁止」
「違反した場合は除名や損害賠償請求をすることもある」
といった内容を含んだ会員規約や契約書を用意する、ということになります。
法律に書いてあることがあまり大雑把だと
- 何が良い
- 何が悪い
の解釈の幅が広くなりすぎて役に立ちません。
かといって、逆に書いてあることがあまりに細かすぎると、制限が多くて息苦しい、住みにくい国になります。
なので
「ほどよく大雑把」
「ほどよく細かい」
という加減が求められます。
同様に、協会の会員規約や契約書も
「ほどよく大雑把」
「ほどよく細かい」
という加減を考えて作っておきましょう。
罰則

国の法律の場合、法律に違反すると刑罰があります。
刑罰としては
- 罰金
- 懲役
- 禁錮
が主なものですが、そのほか
- 免許停止(厳密には刑罰ではなく、行政処分に属します)
といった性質のものもあります。
協会は国ではないので、勝手に刑罰を課すことはできません。
したがって、「刑罰」を協会のルールに組み込むことはできないことになります。
ここで注意が必要なのは、罰金を課すことも本来はできないという点です。
よく「無断駐車には1万円の罰金」といった看板を見ますが、実際には民間が勝手に誰かに罰金を課すことは禁じられています。
協会の場合も
「協会のコンテンツを無断で真似ると罰金」
というのは、実際には法的拘束力はありません。
しかしながら、以下のようなことはできます。
- 警察などに通報すること
- 損害賠償請求をすること(※)
- 民事訴訟を起こすこと
(※)相手が支払うかどうかは別として、請求書を送ることは自由です。
警察

日本のような国には警察があります。
- パトロールをする
- スピード違反や飲酒運転を取り締まる
- 警備をする
- 犯罪を取り締まる
- 事件を捜査する
- 犯人を逮捕・検挙する
といった役割を担います。
協会の場合は残念ながら警察のようなことをするわけにはいきません。
取り締まったり、検挙したりする権利はありません。
仮にあったとしても厳しい取り締まりがあるようなそんな息苦しい協会に入りたいと思う人は、おそらく少ないでしょう。
なのでこの点については協会には当てはめにくいと思われます。
とはいえ、たとえば
- 会員のSNS記事に協会としてコメントを残す
ようなことは、上手にやれば模倣などを防ぐパトロールの意味で、役に立つかもしれません。
教育制度

日本のような国には教育制度があります。
つまり、国民は義務教育の場、つまり学校で
「法律を守る」
「悪いことをしない」
ということを日々の学校生活や道徳の時間などで学ぶことになります。
これを協会に当てはめると、
「協会であれ何であれ他者のコンテンツを無断で真似ることは良くないことだ」
「場合によっては法律違反になる」
ということを、協会の講座のなかできちんと教えるようにするとよいですね。
これは協会を守るという目的もありますが、会員の方々を守るという意味もあります。
協会には関わりのない場面であっても、会員の方が、どこか他のところで他者のコンテンツを無断で真似ることをうっかりやってしまい、悪気がなかったとしても、
- 誰かに迷惑をかけたり
- ブログが炎上したり
することがありうるからです。
会員の方にはそんな目に遭ってほしくありませんね。
国にはできないけど協会にはできること
さきほど、
「国の制度には刑罰があるが協会の制度には刑罰を導入できない」
「国の組織には警察があるが協会には警察のような行為はできない」
と書きましたが、反対に
「国にはできないけど協会にはできること」
があります。
それは
「会員を選別すること」
「会員を制限すること」
です。
国は、日本人から日本国籍を奪うことは(本人が望まないかぎり)できません。
善人でも悪人でも日本人は日本人。
日本人であれば善人でも悪人でも日本国内に住む権利があります。
選別や制限ができません。
しかし協会の場合は、会員にしたくない人が協会に入ってこないように
「雰囲気作り」
をして、
「協会の講座で教えた内容を無断で模倣し、勝手に教室を開くことに罪悪感のないような人」
が極力入ってこないよう、ある程度のバリアーを張ることが可能です。
むろん、入りたいと願う人を無理に拒絶するようなあからさまな対応はしにくいですが、
「悪意のある人が入りにくい雰囲気」
を作ることによって、面倒な人が来ないようにすることはできます。
(雰囲気作りの方法は 長くなりますのでまた別の機会に)
まとめ
以上をまとめると、
国の場合は、
- 法律
- 罰則
- 警察
- 教育
をもって平和を守る。
協会の場合は
- 会員規約や契約書
- 損害賠償請求
- 教育
- 雰囲気作り
をもってコンテンツを守る。
となります。














協会という事業の特長
